3分で分かるベストセラー解説「お金2.0」資本主義から価値主義へ

がっつりとタイトルに「お金」と入っていて、人によっては抵抗を感じるかもしれません。

ただ、この本はお金を稼ぐ方法論を論じているわけではありません。

「資産運用で金持ちはより金を得る、貧富の格差は広がるばかり」
「NPOやボランティアは世のためになるけどお金にならない」

そんな資本主義の常識がテクノロジーの進歩で変わるかもしれない。
そう聞くと少しワクワクしないでしょうか?

人が雑務に縛られず、本当に価値を感じることに注力できる未来
お金2.0は、作者がそんな未来までの道筋とそこでの生き方を描いたものです。

「お金2.0」すごく面白かったです。

しかし、長くて難しい箇所もあるため、自身の整理をかねてポイントを要約しました。

購入しようか迷っている方、要点だけ拾って読みたい方の参考になれば幸いです。

独自のお金を誰でもつくれるようになる

これまで、お金は国家が発行・管理するしかありませんでした。

理由はいろいろあるけれど、その1つが偽札などの不正の可能性があるから。

けれどブロックチェーンなどの技術により、不正がしづらくなました。

そのことで誰でも貨幣(トークン)の発行者になれるようになりました。
この例が今のビットコインやアルトコインといった仮想通貨。

仮想通貨では貨幣の発行者がルールを決めることができるため、
非常に自由度が高いです。

・Youtuberが発行する個人の仮想通貨
・個人の時間に対して値段をつける
・SNSのイイネに値段をつける
・節約行動に対して値段をつける

このようにいろいろな人が貨幣を発行し、
いろいろなものに自由に価値をつけられます。

そして、通貨発行者を中心として協力者や応援者など、グループが出来上がります。こういった、人と人とのネットワークのことを経済といいます。

資本主義の限界

で、何がうれしいの?

今までの資本主義では評価されづらかったものを評価しやすくなったんだ。

そもそも価値とは
・有用性(役に立つか)
・内面性(感動、驚きなどのポジティブな感情)
・社会性(社会持続性を高めるための貢献)
の3つに分けられます。
そして、資本主義では有用性、”つまり役に立つかどうか”しか直接は価値として扱ってきませんでした。

けれど、ボランティアなどの社会貢献や感動する映像作品に価値があるよね?

そう、価値はみな感じているんだ。けれど、資本主義経済で正しく評価することが難しかった。そこで役立つのが仮想通貨をはじめとする新しいお金。

仮想通貨やトークンは自由に発行・値段をつけをして、ラクに送金できるという特長をいかして、
これらの価値を評価、応援できるようになります。
つまり、内面性価値や社会性価値のあるモノにもお金が集めれるようになったということです。

価値主義でルールが変わる

価値主義とは

有用性だけでなく、内面性や社会性含めたすべての価値が評価される経済を、著者は価値主義と呼びます。
価値主義では、お金に変わる前の「価値」そのものに重きがおかれるようになります。

価値主義で消える境界線

価値主義では”営利と非営利の垣根”はなくなります。
資本主義ではお金にならないコトは国や非営利団体が行っていました。
つまり、
・非営利のフィールド→お金が集まらないから国がやる
・営利のフィールド→会社がやる
ということ。

しかし、価値主義では活動に価値さえあればお金は集まります。
したがって、営利と非営利といった考え方はそもそも必要なくなります。

これは言い換えると民間(経済)と政治で取り組むフィールドの垣根がなくなるということでもあります。

お金に縛られることがなくなる?

ゆくゆくはAIが今の仕事を代替したり、国や企業がベーシックインカムが導入されるかもしれません。
すると、今のような働き方は必要なくなるでしょう。

最低限の生活が保障された中で、個々人の価値観に沿った経済に属し、
やりたいことができるようになる未来を著者は想像しています。

セーフティネットとしての効果

今までは日本(国家)という経済の中でしか生きるしか選択肢はありませんでした。
言い換えると日本という経済にしがみつくしかないということ。

それが今後は必ずしもそうではなくなるかもしれません。

価値主義ではさまざまな独立した経済が登場することになります。
そして、それぞれの経済はその中で完結します。

例えば(決して今はそうなっていませんが)ビットコインを稼ぎ、ビットコインで支払いを済ませることを想像してみてください。
日本円を持つ必要は必ずしもなくなりますよね?

つまり、一つの経済圏で失敗したとしても他の経済圏に逃げ込めばいい。
このようにたくさんある経済圏がセーフティネットとして働くのです。

価値主義で広がるチャンス

それぞれの経済では評価される内容も異なります。
各自は、自らの力を発揮して、居心地のいい経済を選べばよいワケです。

当然、自分が活躍するチャンスも広がることになります。

VRやARで広がる世界

さらに、VRやARといった技術と合わせてどのように世界が変わっていくか?に話は広がります。

見えないものが見えるようになると…世界が広がる!

この辺りは壮大でSFチックな内容も含み、まとめると著者の思いを損なってしまうかもしれないので、割愛します。

感想

ザックリいうと、この本の趣旨はテクノロジーの力で人がやりたいことをやれるようになるというもの。
少し希望的観測すぎる気もしましたが、大局としての流れは賛同できるものでした。

特に、文中の
「悲劇や不幸は悪人が起こすより、適切でない仕組みが大まかに適応されることで起こることが多い」
この一文にはすごく共感します。

テクノロジーの進歩が、各個人にあった仕組みの中で幸せな暮らしができればいいなぁ、と思います。

この他、本書の読みどころを書いておきますね。

グループやコミュニティをまわすためのコツ

著者は「生産的な行動を支援する仕組み」を経済システムと呼んでいます。
この定義に当てはめれば、組織マネジメント論・プラットフォーム戦略・コミュニティ戦略いずれも経済システムです。
そして、経済システムを成功させるために必要な普遍的な要素をまとめています。
・自然システムとの対比
・報酬系という人の性質
など、
独自の切り口から分析されていて非常に興味深かったです。

うまくいく経済システムの要素

本編の大筋からは離れた内容には、話題は初めて知ったこともあり勉強になりました。
・資本主義の枠組では企業価値を計るための指標がうまく機能していないこと
・著者が興したサービス”タイムバンク”が現在の時流の中でどう位置付けられるか
・これまでの歴史と紐付けて今のトレンドを紐解く語り口

最後に本書で感銘を受けた、ザッカーバーグの言葉を紹介して終わりたいと思います。

あなたの人生の目的を探しなさいといったよくある卒業式スピーチをしたいわけではありません。(中略)「自分の人生の目標を見つけるだけでは不十分だ」ということです。僕らの世代にとっての課題は「”誰もが”人生の中で目的(意義)を持てる世界を創り出すこと」なのです。

自分自身に閉じて生きる意義を考え、もんもんとしていた自分の小ささを思い知らされました。
一つ視座をあげてたミッションを掲げている人がいる…このことは心に留めておきたいと思います。